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埼玉県公立高校入試 出題方針と分析
埼玉新聞 2010年2月17日掲載記事

出題方針 1 中学校学習指導要領に基づく内容
2 基礎的な知識・技能をみる問題とともに、思考力・判断力・表現力をみる問題の出題
3 各教科の学力を十分に把握できるよう出題内容に配慮し、記述による解答を求める

国 語

水野将行 講師 総 評
出題形式変わり難化

 【出題方針】
  適切に表現し正確に理解する能力をみる内容を広範囲に出題。問1は文学的文章の読解力、問2は基礎的な言語能力をみた。問3は説明的な文章の理解力を試し、問4は古典の基本的な理解力を問うた。問5は自分の考えをまとめ、相手や目的に応じて文章を書く力をみた。

 【分析】
  大問1は小説の読解。問2のアは空欄直後の「を持ってしまい」に着目し、イは「考え抜かず」にしてしまったことを本文中より探す。問3は「頭の中のチェス盤で奏でられるメロディー」が「刻々と移り変わる駒の動き」の比喩(ひゆ)であることをつかめるかがカギ。問4は指定語句を使う記述。まずは「間違い」を本文中より探し、「一つの間違いから実に多くを学ぶ」という特長を書き、続けて「わな」を「二度と同じ穴には落ちなかった」という表現に関連させて書くことが必要。問5は本文中の「なぜならそれが自分の力で刻み付けた足跡であり、自分の死んだあともずっと残るからだ」という個所を空欄に合う形で書く。

 大問2の問3はさまざまな条件から「信」という漢字を導く問題だが、かなり難しかったと思われる。

  大問3は説明文。昨年までの傍線のない段落単位の問題から傍線を中心とした問題に様変わりした。問2は「このような経緯」の指示内容を前段落から的確にとらえ、該当する解答をすべて答える問題。問3は傍線部を正確に言い換えた選択肢を選ぶ力が要求された。問4はまず、指定語句の「後天的」と「活用」の2語を本文中より探し、次に空欄直後の「しくみ」につながる個所を探してまとめる。

  大問4は古文。昨年までには見られなかった記述問題が出題された。

  大問5は作文。「勉強する理由」を資料を基に体験を踏まえて書くこと。

  全体的に記述の割合が増え、難しくなったと言える。また、説明文や古文で出題形式が変わり、戸惑った受験生も多かったと思われる。


数 学

池田 慶 講師 総 評
得点差出やすい配点

 【出題方針】
 問1は基礎的・基本的な内容の習得力を試した。問2は図形や数量関係に関する問題で数学的な知識や技能を総合的に活用できるかどうか、問3は事象を総合的に考察する能力を問うた。問4は図形に対する興味や関心が高まるよう、具体的に長方形の紙を折る問題とした。

 【分析】
 本年度から100点満点になったが、問題数と難易度に例年と大きな変化はなかった。しかし、1問の配点が4点〜7点になり、得点に差が出やすくなっている。

 大問1は11問の小問からなる。計算、基本的な関数と図形、場合の数が10問で、11問目は規則性の問題であった。この規則性の問題はやや難しく、日数と枚数の関係を表に書き出して考えてみるとよいであろう。

  大問2は規則性、図形の面積、2次関数、作図の4問の小問からなり、比較的解きやすい問題であった。(2)の図形の面積の問題は、等しい部分を移動すると求めやすくなる。(3)の2次関数の問題はやや難しく、点Qのx座標をtなどの文字で表すとよい。

  大問3は図形の辺の上を点が動く問題が2問で、教科書レベルの内容をしっかり練習しておけば確実に解けるであろう。(2)は、途中の説明を書かせる形になっていて、埼玉県では新傾向である。

  大問4は長方形を折り返す問題で、似たような題材の問題がここ数年連続して出されている。(1)は長方形を折り曲げて立体を作り、その体積を求めるが、空間内で垂直になっている面の関係に気付くとよい。(2)は三角形の合同の証明で、基本的な問題である。配点が7点と最も高く、部分点がある。(3)は難問で、三角形JBCとJIHが直角二等辺三角形であることを利用し、台形の面積として求めることができる


社 会

伊東達朗 講師 総 評
時事への関心も必要

 【出題方針】
 基礎的知識とともに思考力や判断力をみる出題に努めた。問1、問2は地図や統計を基に世界や日本の地域性を問うた。問3は日本史に関する基礎的な内容、問4は近現代の日本と世界に関する知識を試した。問5は現代日本の政治や経済、問6は調査学習を想定した問題。

 【分析】
  選択問題が減少し、記述問題が例年より大幅に増えたことにより、7割近くが重要語句やグラフから読み取る記述問題となった。

  地理分野の大問1、2は、例年通り表やグラフ、地図を読み取る問題が出題された。世界地理ではフランス・インド・オーストラリア・ブラジルのエネルギーや食料に関することが出題された。日本地理では宮城県に関する問題が出題された。宮城県の特色(地方中枢都市・観光・地形図)が問われた。世界地理・日本地理ともに、グラフの正しい読み取りや地形図の基礎を理解していれば、さほど難しい問題ではない。

  歴史分野の大問3、4は、古代から現代まで幅広く出題されている。記述問題は、江戸時代の農業と不平等条約の改正を問う問題であった。選択問題では、用語の組み合わせを問う問題が3問出題された。いずれもより正確な基礎知識を問う問題であった。普段から用語だけを覚えるのではなく、その背景や原因も理解する必要がある。

  公民分野の大問5は、経済・財政・地方自治・女性の就業問題など広範囲に出題され、基本的な知識が求められた。

  大問6は、地理、歴史、公民の融合問題が出題された。都道府県の位置や工業地域の特色、歴史上の人物を正しく理解していれば解ける内容である。

  記述問題は、グラフを正確に読み取る力や設問の条件に合う内容が書けるかどうかなので、日ごろからの記述問題に対する練習がカギとなる。

  社会科は、「新聞」や「テレビのニュース」に関心を持つとともに、地図や資料、写真などにも目を通す必要がある。


理 科

安井秀典 講師 総 評
実験の考察力が重要

 【出題方針】
 問1は地震規模の単位や原子記号など基礎的な知識や技能力をみる問題。問2は日食を題材に地球の自転などに関する理解力を試した。問3は動植物の観察、実験を基にした問題。問4は電気分解実験を通した化学変化、問5は重力やエネルギーなどに関する知識を問うた。

 【分析】
  前年と比較すると大問が7題から5題になった。

  大問1は、1問1答で8題出題された。地学、生物、化学、物理から各2題ずつ出題されている。

  大問2から5も大問1と同様に全範囲から、学年の枠を取り払って出題されている。
  文章記述と作図の配点が約4割を占め、難易度が高い。

  大問2は昨年の皆既日食を題材にした問題。日食の仕組みや月の動きについての知識が出題。問2は表より地球から太陽の距離が地球から月の距離の400倍であることを求められれば書けた。

  大問3は生物の総合問題。顕微鏡で観察された小さな粒(葉緑体、赤血球、細胞の核)が題材となる。観察で用いる器具の使い方や、実験方法について熟知していることが求められた。

  大問4はイオンと電気分解。塩酸の電離の知識と、塩酸や水の電気分解で発生する物質について出題。問4は「気体や液体が装置の外に漏れることはなかった」ことから質量保存の法則が成り立つことが分かる。

  大問5は運動とエネルギー。斜面の角度や経路を変えて小球の速さを調べる実験から、経路を通り終えるまでの時間、重力、力学的エネルギーについて考察する問題だった。問4は、斜面の傾きが急な方が水平面に到達するまでの時間が短くなること、上り斜面を通過する時間が最大で0.25秒であることから、実験2の方が実験1より時間が短くなることが分かる。

  文章記述の難易度が高く、実験の結果を覚えるだけでなく、その理由まで記述できるように訓練する必要がある。


英 語

児玉昌晃 講師 総 評
記述問題の出来が鍵

 【出題方針】
 実践的コミュニケーション能力を重視した。問1は英会話の放送問題で聞き取り能力をみた。問2は読解力や文法を問うた。問3はまとまりのある文章の読み取り能力を試し、問4は地域美化週間という生徒の作文を読んで答える問題とした。問5は英語での表現力をみた。

 【分析】
 リスニングと英作文で36点、文章題が64点の配点となり大問数が一つ増えた。

 大問1はリスニング。設問が2問減り、文章も短く簡単になったので確実に取りたい。

 大問2は新傾向の問題で短い文章に設問が4問ある。問4で戸惑った生徒がいるのではないか。

 大問3は従来の二つの場面を組み合わせた構成から一つの場面の対話文に変わった。記述の問題が多く、問1は現在完了と分詞を融合した整序問題でやや難。問2のwhatが答えられたかどうか。問7は本文中にある表現をうまく使うこと。ただし、未来形にするのを忘れないように。

  大問4は従来の大問3とほぼ同じ形式。ここでも記述問題が多く、得点差が最も出るところ。問3ではfeel…?と聞いているので、本文のwasをfeltに書き換えることに注意。また、問4は本文中にない語を文章から類推する問題でかなり難問。特にlifeとnewが思いつくかどうか。Afterも文頭なので大文字にすること。

  大問5は英作文。5文以上の条件は従来通りだが、三つの指定された単語を必ず使うという条件が新たに加わった。内容は「教科」に関するものなので、練習してきた生徒には十分に想定内の出題だったと思われる。

  全体としては大問数が増えたが、リスニングと長文が短くなったので、作文に戸惑わなければ、時間内に処理できる問題。大問3と4の記述問題の出来が得点を大きく左右する。去年よりも解きやすい問題だったので、平均点が少し上がると予想される。







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